この本は育児書ではなく、社会派ミステリーなのですが、食育という観点で見るととても参考になる本です。
この物語は以前おきた北海道のミートホープ事件をモデルにしていると言われていて、この本を読むと日本人の食生活が脅かされているということに気が付き、子どもに与えるものも考えないといけないんだなと思えます。
◆震える牛のあらすじ
主人公の田川は警視庁捜査一課継続犯という未解決事件を担当する部署に所属していて、上司からある事件を任されます。事件は「中野駅前居酒屋強盗殺人事件」という事件で、当初は外国人が居酒屋に強盗で押し入り、二人を殺害した強盗殺人事件として扱われていましたが、田川が捜査するうちに、事件の背後には日本の食に関する企業の裏側が関わっていることがわかってきました。
◆ミートホープ事件
ミートホープ事件は北海道のミートホープという会社が、食肉偽装をおこした事件で、牛肉100%とうたった商品に、添加物や内蔵なのど混ぜ物をして作っていたことが発覚した事件です。
この小説ではミートホープ事件を題材にしているような印象を受けます。
◆実際にありそうなフィクション
一応、この小説はフィクションですが、実際にある企業と思われる企業が出てきます。ショッピングモールを展開していて、社長の一族に現役の大臣がいるという会社はイ◯ンをモデルにしているような感じですし、日本中のロードサイドに出店しているファストファッションの店はユ◯クロのことでしょう。以前、ユ◯クロがイ◯ンのショッピングモールから出て、モールの近くでロードサイド店を出したがっているという話を聞いたことがありましたが、まったく同じ話が小説の中で出てきました。作者は良く取材をしているのでしょう。
◆加工食品の恐ろしさ
小説では、偽装食品を作っているミートボックスという会社から退職して、会社の不祥事を世間に訴える元社員が出てきますが、その社員の居酒屋での話を読んで、外食が怖くなりました。
特に肉関係。ハンバーグがどれだけいろんな肉と食品添加物を混ぜて作られているかということを知ると、ハンバーグレストランとかに行けなくなるレベルです。
自分で食べるならまだしも、子どもを外食に連れ出すのが怖くなりました。
◆何が混ぜられてどうなるかわからない
本編で、食品添加物単体はちゃんと検査して、体に害がないものを使っているけど、それを混ぜたときにどんな作用をするかは誰にもわからないと言っていたのが怖かったです。
昔は何でも家庭で作っていましたが、最近はレトルトや冷凍食品、◯◯の素など手軽な食品が揃っていて便利になりました。
奥さんのママ友でも、離乳食を作ったことがなく、基本的に買ってきたものを与えていると言っていた人がいました。
しかし、非常時ならともかく常に何も考えずに子どもにそういった物を与えていると、親も子ども考えなくなって、結局、何から何を作っているのかわからなくなってしまうのが怖いです。食育って世代を越えて伝えていかないといけないものです。
まずは、自分の食生活を変えて、子どもに伝えられるように食育の勉強をしていこうと思っています。
この本は育児本ではないですが、子どもへの安全で安心な食を考えるということを考えるのに、良いきっかけになりました。