子どもがしゃべれるようになると、いろんな質問をしてくるのでしょうが、今からそれがとても楽しみです。子どもの頭の中には大人が考える「常識」なんてないので、なんでも質問してくるため、大人がわかったつもりになっていることをあらためて考えさせてくれるきっかけになると思っています。
そんなことを考えていたら、「尾木ママ、どうして勉強しなきゃいけないの?」という本を見つけました。あのテレビで有名な尾木ママが、子どもからのいろんな質問に答えている本で、自分が考えた答えより、より深く濃い内容のもので、とても参考になりました。
この本を読んで、将来、子どもとやり取りをするのが、もっと楽しみになりました。
・「尾木ママ」とは?
尾木ママとは、教育評論家で、タレントとしてテレビの「ホンマでっかTV」に出たり、ニュース番組のコメンテーターとしても活躍している方です。
1947年、滋賀県生まれで、最初はジャーナリストを目指しましたが、自分のゆったりとした性格に合わないと思って、早稲田大学卒業後、高校、中学で22年に渡って教師の職に就きました。その後、独立して大学の講師、教授、そして執筆活動、研究者として幅広く活躍しています。
モットーは、「子育てと教育は”愛”と”ロマン”」です。
ぼくも「尾木ママ」のイメージが強かったので、おネエ系の方かと思いましたが、ただしゃべり方がそういうしゃべり方なだけで、結婚していて、子どもも孫もいるのにはびっくりしました。
ただ、しゃべり方はおネエ系ですが、この本を読むと尾木直樹さんの信念に基づいた強い行動力には男らしさを感じられます。
・「尾木ママ、どうして勉強しなきゃいけないの?」とは?
この本は、尾木ママが16個の質問に答えています。16個の質問は、
「どうして勉強しなきゃいけないの?」
「なぜ学校に行かなきゃいけないの?」
「どうしていじめちゃいけないの?」
「なぜ暴力はいけないの?」
「どうして誰とでも仲良くしなきゃいけないの?」
「なぜ人を『好き』になっちゃうの?」
「どうして謝らなきゃいけないの?」
「なぜウソをついちゃいけないの?」
「どうしてズルいことはいけないの?」
「なぜ約束は守らないといけないの?」
「どうして夢を持たないといけないの?」
「なぜ働かなきゃいけないの?」
「どうしてみんな神様にお願いするの?」
「なぜ死ぬってこんなに怖いの?」
「どうして人を殺しちゃいけないの?」
「なぜボクたちは生きているの?」
と、どれも子どもが聞いてきそうな質問ばかりですね。質問項目にはひと通り自分なりの答えがありましたが、それでも本書を読んで、尾木ママの答えの深さは勉強になりました。
・どうして勉強しなきゃいけないの?
ぼくは、結構勉強好きな方だと思いますし、勉強することの楽しさを知っているので、子どもにこう質問されたら、
「勉強をすると、今まで知らなかったことが分かるようになって楽しいよ。そして、難しいことを知ろうと思ったら、少しずつ勉強しないと急にはわからないから、勉強すれば自分が疑問に感じたときに、自分自信で答えを見つけることができるようになるよ」
と、答えようと思っていました。尾木ママも同じような考えで、勉強をすれば世の中が見えるようになると言っています。そして、せっかくの人生だから結果的に成功するかどうかは別にして、自分でしっかり流れを見極めて、世の中を渡っていく方が良いし、そのためには勉強が必要なのだと説いていました。
・桜宮高校の体罰問題に関して
体罰に関しては、ぼくは今まで本当に必要であれば、仕方ないと思っていましたが、「本当に必要なのかどうか?」の見極めが極めて難しいことに気が付きました。
体罰をすることで、子どもが萎縮してしまうと、子どもは親や教師が設定したレベルには到達しても、それ以上には進まないそうです。桜宮高校では、一定の成果が上がったので体罰は時には必要なのかという議論もありましたが、殴られる恐怖で人間は思考を停止してしまい、自分の主体的な判断能力がなくなってしまうので、指導者についていくという奴隷化してしまうそうです。
ちなみに、人間は緊張感や恐怖心のなかで動くよりも、褒められて認められたほうが伸びるようです。
・いじめ問題について
いじめはいじめられる側に原因があるけど、結局は「いじめる側」が悪く「いじめられる側」には非がないと考えていました。
しかし、あるいじめられた生徒は、リーダーシップがあって、成績優秀で、スポーツ万能で、モテて。そんな彼がいじめられた理由は「完璧すぎるから」だそうです。そう考えると、何がいじめの原因になるかわからないですね。いじめられる側にには原因なんてないことがわかりました。
そして、尾木ママはいじめる側というのは大抵、ストレスを溜めているため、いじめをなくすには、子どものストレスを溜めないようにしなければいけないと言っていて、それができるのはやっぱり家庭であり、いじめをなくすために一番大切なことは、それぞれの家庭が自分の子どもを「いじめをしない子どもに育てる」ことだと言っています。
どんなことでもいじめの原因になるのだとしたら、いじめられないようにする方法はないですが、自分の子どもをいじめをしない子どもに育てることが、我が家でできることだとわかりました。
ちなみに、いじめた側もずっとそのことを心に溜めて生きることになるので、そういった意味でもいじめをしない子に育てることは必要だと思います。
・まとめ
これ以外にも紹介したい内容がたくさんあります。育児関係の本を読んでいると、必ず「これって、大人にも言えるな〜」と思うことがあります。
子どもに「どうして夢を持たないといけないの?」と、言われても、最近の大人は夢を描くことのできない現実思考ばかりになってしまっている気がします。個人的には自分が夢を持っていないのに、子どもに夢を語らせることなんてできないと思っています。
たぶん、それはどんなに小さな夢でもいいと思います。
ぼくのとりあえずの夢は「夫婦で世界一周をする」ことです。その目標に向かって頑張っている姿を見せることは、子どもに夢を描くことの楽しさや、実現させるための行動を示すことにつながり、子どもが夢を叶えようとする原動力になると思っています。
尾木ママは、「夢を持つということは、自分の未来をイメージする力、そして、自己実現していく力だと思う」と言っています。
子どもが、
「ちっちゃい子と遊ぶのが得意だから、保育園の先生になりたい!」
「ぼくは新幹線が大好きだから、運転士になりたい!」
と思い、自分自身の個性から社会との接点を作って未来につなげていくのが、夢を持つことの理想的なあり方だと尾木ママは言っています。
いろんな育児書を読んで、この育児書を読んでも思ったことですが、子どもは親の真似をするから、子どもに伝えたいことは、まず親がしなければいけない。そのために、親は努力する必要があるのだと思います。
この本は、とてもわかりやすく、子どもがよくしてきそうな質問に答えていて、自分自身考える力が付いたと思っています。
子どもに質問される前に予習をしておいてよかったです(笑
シンプルな質問って大人になると、以外と答えられないものですね。この本をきっかけに、夫婦で当たり前のことについて話し合うようになり、良いきっかけになりました。